図書室より 新着本情報(6月)

 

6月の新着本の紹介です。

 

*ひびきあう日本文化と福音 三者三様のおもい  阿部仲麻呂、諏訪勝郎、高橋勝幸  教友社

キリスト教の本質を西洋思想の限界との関係において見極めようとしています。行き詰った現代の限界に近づく可能性を秘めているのが、西洋的な「もの」的思考ではない日本文化にある「こと」的思考であると。西洋哲学の側でもハイデッガーがカトリックの神学校で学びながら西洋の論理的な表現方法は内的なもの(こころ)を表現できず息苦しさを感じていた。主語・述語のヨーロッパの言語・思惟方法では心の内の問題等説明できないものがあり、行き詰まりとなる。東洋思想にはまだ思索の鉱脈が残る。

第二バチカン公会議で「開かれた教会」としてエキュメニズムや宗教多元性を謳ったが、著者たちによれば物足りないとのことです。一部にバチカン批判もあり図書に登録するか悩みました。カトリック信者の日常生活にとって直接ヒントとなる切り口が随所に見られる真面目な思索であると理解して、教会図書にご紹介としました。

 

*ふしぎなキリスト教  橋爪大三郎、大澤真幸  講談社

社会学と哲学に造詣の深い、二人の教授が対談したものを書き起こしています。口語でとっても読みやすい内容です。世の中のキリスト教入門本は「信仰の立場」や「聖書学」の解説が多いが、この本はキリスト教徒には言えない肝心なことが書かれています。

近代化とはなにか。それを紐解くには「キリスト教」とはなにかを知らなければならない。なぜなら、西洋化(グローバル化)とは、「キリスト教」の影響を直接的、ないし逆説的に受けているからだ、と。 


【図書室係からお知らせ】

図書室の開放ルールを見直しました。以前のお知らせで「自主管理」と宣言しましたが、毎週日曜日の10時30分から11時30分をコア時間として、係メンバーが図書室の鍵を開けることにしました。聖堂の階段に「図書室は開いています」表示板を出し、開放状態が一目で確認できるようになっています。その他時間帯の「自主管理」も継続します。