主の昇天 2023年5月21日

先に下記リンク先の聖書箇所を読み、黙想してから動画をご視聴いただくことをお勧めします。

 

朗読箇所のテキスト(日ごとの福音)

 

第1朗読 使徒言行録 1章1~11節

第2朗読 エフェソの信徒への手紙 1章17~23節

福音朗読 マタイによる福音書 28章16~20節

 

<お説教要約>

今日の大きな祝いは主の昇天です。主は天に昇られました。私たちが信仰宣言で祈るように、父の右の座に着かれました。こうして聖者と死者を裁くために帰って来られます。今日はそれを記念しています。当時の弟子たちの気持ちを想像してみると、それほど悲しそうではありません。聖書の記述にそのような印象はありません。むしろ聖ルカ福音書の終りには、昇天の後で弟子たちは大いに喜び、皆で集まって神殿で祈っていたと記されています。

 

しかし、そのあとに待ち受けている状態は厳しいものでした。弟子たちは宣教する命令をキリストから受けてそこから宣教者として働くようになりました。当時キリスト者はごく少数でしたが、彼らは大きな世界に出掛けて行ってキリストを伝える勇気を持っていました。

 

今でも日本ではキリスト信者は少なく、宣教は難しいですが、当時の弟子たちの環境は厳しいものでした。ゼロから始め、出かけて行って宣教に献身しました。彼らは復活されたキリストに出会ったので、それによって力づけられていたのです。私たちには主と直接出会うと言う経験はありませんが、力付けられます。聖パウロがそれを言っています。第二朗読にある彼のエフェソの信徒のための祈りの中に、主なる神の力が示されています。

 

「神はこの力をキリストに働かせて、キリストを死者の中から復活させ、天においてご自分の右の座に着かせ、全ての支配、権威、勢力、主権の上に置き、今の世ばかりではなく、来るべき世にも唱えられるあらゆる名の上に置かれました」。

 

その偉大な力を持たれるキリストはもともと神の子ですが、一つ違うことは、私たちと同じ人間性を持つキリストの人間性がそこまで高められたことです。天使の上、御父の右の座まで高められました。聖パウロがここで言っているのは、キリストの内に神が働かれた同じ力を私たちにも下さると言うことです。私たちは御父の右の座には着きませんが、その偉大な力を頂きます。信者に対して、全世界に対する神の力がどれほど大きいかを悟らせてくださるように聖パウロは祈っています。その力を信じる人は今でもそれを頂くことができます。キリストはすべてを支配しておられます。天と地の一切の権能を授かっているとキリストは言われます。

 

これは特に現代に当てはめられるでしょう。今の日本の教会は信者が少ないし、これからは厳しい時代になるような気がします。コロナは少しずつ緩和されてきましたが、生活は覆されています。普通の生活ができなくなった、不安な状態です。世界は安定に向かっているとは言えません。もっと大変なことがあるのではないかという気がします。

 

これは一つの試練で、これを耐えられる人は幸いで、信仰も深まります。主なる神の力に信頼してすべてを主に委ねる心が大切です。主を頼りにする、委ねる、自身を委ねる、身を委ねる、あらゆる状況、問題を主に委ねることです。まず私たち自身が大変ですが、今の場合の心配はもっと大きくなる可能性があります。今からその態度を養うことが大切です。

 

キリストとは決して私たちを見捨てられません。ご自分の計画をもって教会、全世界を導いておられます。ご自分の計画の中で私たちを浄め、ご自分にもっと近づけようする時、主は試練をお使いになります。主は苦しみや悩みをお与えになる時、それを必ず何か良い目的、良い理由のために下さいます。ご自分に近付き、主の力で人生の中でもっと主を経験するようにと。こうして私たちは心の支え、よりどころ、確固たるところ、経験によって、あらゆる状況の中で主にますます強く結ばれて、主にもっと近く生きるようになるでしょう