神の母聖マリア 2023年1月1日

先に下記リンク先の聖書箇所を読み、黙想してから動画をご視聴いただくことをお勧めします。

 

朗読箇所のテキスト(日ごとの福音)

 

第1朗読 民数記 6章22~27節

第2朗読 ガラテヤの信徒への手紙 4章4~7節

福音朗読 ルカによる福音書 2章16~21節

 

 

<お説教要約>

教皇パウロ6世のときから、この元旦の日は、世界平和記念日にもなっています。今年は特に、たぶん皆さんの関心があるところは、ウクライナの戦争、実はそれ以外にもたくさんのところで、そういう戦争や騒動、暴力が見られます。クリスマスの祝いは、平和のメッセージでもあります。12月24日の晩のクリスマスのミサでは、ルカによる福音書が読まれ、天使たちの唱も朗読されました。「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ」。

 

地には平和。でも、その「地には平和」の条件と言いましょうか、「御心に適う人にあれ」、誰彼ではないです。この平和の実現は、神との関係にかかっています。人間というものは、神との平和を持っていないから、人間の心に平和が無いんです。人間の心に平和が無いから、世界にも平和が無いんです。だから、世界平和を実現したいなら、すべての人に神との平和が必要条件になります。そのために、キリストが生まれたんです。それは特に、きょうのメッセージでもあります。

 

きょうの日も、神の母聖マリアの祝い日です。きょうは聖母マリアをとおして与えられた恵み、特にキリストご自身のことを考えられるんです。それは、聖パウロが説明しているところです。「時が満ちると、神は、その御子を女から、しかも律法の下に生まれた者としてお遣わしになりました」。女から生まれることは、もうずっと昔からの預言にあります。メシア/救い主の誕生が預言されています。女から。たぶん一番有名なのは、待降節の間でも読まれた、「おとめが身ごもって男の子を生む。その名はインマヌエルと呼ばれる」。インマヌエル、「神は我々と共におられる」という名前をいただいています。そのかたこそ、すべての平和。聖パウロが説明しているように、キリストのうちに神と人間が平和を実現しています。

 

世界中の平和の基は、キリストにあるんです。そのキリストの働きも、きょうの聖パウロのところに説明があります。キリストがマリアの子として生まれたのは、わたしたちが、神の子としていただくためです。そして、その神の子であることは、聖霊が証しています。わたしたちの心の中で、アッバ/父よと御子の霊が叫んで、わたしたちは神の子であると。そして神の子であるなら、相続人でもあります。そこも重要なポイントです。

 

相続人。人が神を信じることは、道徳的に正しく生きることを意味していると、そう受けとめられる場合もあるのではないかと思います。それも確かに含められていますが、そういうふうに生きるには、ひとつの大きな動機は、わたしたちに約束された遺産/受け継ぐもの、わたしたちはその相続人になったという希望が大きいです。というのは、人がこの世を超える希望、神からいただく遺産の希望を持っていなければ、この地上での遺産、持ちもの、権力などを貪ります。そして、その貪りが、互いにぶつかりあって、結果的に戦争に発展していきます。人間の欲張り、この世のことを貪っているからです。でも、自分が相続人になって、神さまからの遺産に希望をおく人、それが何よりも喜ばしいこと、心満たすこと、自分の何よりもの幸せと喜びだとわかっている人は、この世のものはそこまで貪らないんです。むしろ、他の人をもっと愛するようになるんです。他の人のために務めるようになるんです。そしてそれが、世界平和の基になるんです。

 

そういう意味では、キリストに世界平和は基づいています。その可能性はキリストから来ます。神の母聖マリアは、キリストをわたしたちのために生んでくださったかたです。聖母マリアも、わたしたちを援けてくださるかたです。世界が平和になるように、聖母マリアは何よりも自分が生んだキリストをわたしたちに示してくださるんです。このかたのところに行きなさいと、聖母マリアも呼びかけています。キリストを生んだという大きな恵みをいただいたことで、神の母になるという尊厳、偉大な栄光を受けた聖母マリア。わたしたちのための力強い援けになります。だから、特に聖母マリアの取り次ぎを願って、わたしたちはキリストにおいて、キリストの恵みによって世界が平和になるように祈って、そしてわたしたちから始めて、わたしたちがキリストのうちに、神との平和にいつまでも留まるように、わたしたちの心にも平和があって、周囲の人々との平和があって、わたしたちをとおして、キリストから来る平和がこの世に伝わっていくように祈りたいと思います。