復活節第2主日 2022年4月24日

先に下記リンク先の聖書箇所を読み、黙想してから動画をご視聴いただくことをお勧めします。

 

朗読箇所のテキスト(日ごとの福音)

 

第1朗読 使徒言行録 5章12~16節

第2朗読 ヨハネの黙示録 1章9~11a、12~13、17~19節

福音朗読 ヨハネによる福音書 20章19~31節

 

<お話の要約>

復活節第2主日は毎年トマスがキリストの復活を信じなかった場面が読まれます。そして最後に聖ヨハネの言葉があります。イエスは他のこともたくさん行いましたが、聖ヨハネが福音書を書いた目的は「あなたがたが、イエスは神の子メシアであると信じるためであり、また、信じてイエスの名により命を受けるためである。」と書かれています。だから、私たちに向けられた言葉だと受け止めて、今日の箇所には私たちにどんなメッセージがあるか考えたらいいと思います。

 

特に2つの教訓があるように感じます。聖トマスは確かに信じなかったのです。復活そのものはそんなに簡単に信じられるものではないと思いますので、それほど不思議ではないでしょう。興味深いこととして、聖トマスは実際にキリストに出会ったら信じるようになって信仰告白をしました。

「わたしの主、わたしの神よ」

これはとても素晴らしい信仰告白です。聖ペトロは、「メシア生ける神の子」と信仰告白しました。聖トマスはさらに素晴らしい信仰告白、キリストは神であると、そこまで告白しました。それを考えたら、聖トマスが疑ったことは、あとで信仰を深めるためになったのです。

 

実はあらゆる人生の経験の中で、信仰が試される時があります。疑いを抱くようになったり、信仰に対する疑問、苦しみ、悩みの中で信仰が試されます。試された時は、ふた通りの結果があり、信仰が薄くなる恐れとかえって信仰を強める機会になります。キリストはトマスに言いました。「信じないものではなく、信じるものになりなさい。」トマスは信じないものになりかけていたから、キリストは、信じないものになってしまわないでもっと強く信じるようになりなさい。と呼びかけ求めました。私たちにもそのような機会があると思います。

 

でもなぜトマスが最初に疑ったかというと、詳しい説明はないのです。想像してみることはできますが、確かなことはわからないわけです。もしかしたら、聖トマスの性格から来たものかもしれません。というのは、イエスがラザロをよみがえらせた奇跡を起こした時のことです。ユダヤのラザロのところに戻ろうとした時、弟子たちは「ユダヤ人たちがついこの間もあなたを石で打ち殺そうとしたのに、またそこへ行かれるのですか。」危ないというようなことを言いました。それでもキリストはどうしても行くと言ったので、トマスは仲間の弟子たちに「わたしたちも行って、一緒に死のうではないか」と言ったのです。それを考えたら、勇気もあったと思いますが、主に対する忠実もあったと思います。かなり真面目な性格です。でももしかしたら、悲観的な見方もしていたかもしれません。そのような人は、だいたい期待していることは躊躇するのです。期待してしまったら、その通りにならなければ、がっかりして辛い思いをするので、そうならないように頭から期待しない方が無難だという心理があると思います。もしかして聖トマスがそのような人であったら、自分は復活を信じないと強く言ったことにつながるかもしれません。

 

そこからも1つの教訓があります。信仰の中で期待することも1つの要素です。例えば、人間関係の中でもその人のことを期待していると言う時は、その人の才能などを認めてその人を信頼している表れです。主にキリストに期待できないと言うなら、主の才能をそんなに認めていない、信頼していないということになると思います。私たちの場合は、自分がこれ以上信仰を深めることが無理じゃないかと、これぐらいが限界なのではと思うことがあります。それは主の力を認めず、信頼しないことです。キリストは私たちを今の信仰の状態よりずっと深い信仰の状態に導きたいと望んでおられます。でも、そのような状態になるのは自分で努力しても先に進めないと諦めてしまう。ここが1つの問題点です。もっと深く信じるものを、信じている自分を求めている心の表れだからです。それだと先には進みません。自分の思いと力によってより、心から主との出会いを求める、主を深く知るようになる、そこをトマスがあらわしています。確かに信じないと言ったけれど、少なくとも条件を出し、自分はもっと経験したいと言います。キリストが憐れんで経験させてくださったから、信仰が深まりました。そこまで主を疑わなくても、もっと主を知ろう、求めようとする心だったら、主に期待をかけることができるのです。わたしは自分の思いと力によってではなく、主の恵みと力によって信仰が成長して主にもっと深く結ばれるようになります。

 

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コメント: 1
  • #1

    長坪光 (月曜日, 25 4月 2022 05:05)

    マルコ神父様
    初めてコメントします。毎週このお説教の要約を読む事で深く理解する事が出来、感謝しております。私も自分の努力では無く神様からのお恵みに寄って信仰を成長させて頂ける様望みます。