―「ことばの典礼」について―
日本カトリック典礼委員会 山下敦神父(大分教区)
―新しい「ミサの式次第」の実施に向けて―カトリック新聞2022年1月30日号より
<みことばに養われる>
・新しい式次第の目的は信仰と生活の一致、つまり、信仰養成の主たる現場である典礼において祝っていることを日常生活で生きるためです。ミサに関する根本的なことを再認識することは、日本の教会でミサにあずかる全ての信者にとって、そして、今後の日本の教会にとって、とてつもなく大切なことだと思います。
・ミサ聖祭は、「ことばの典礼(福音を頂点とする神のことばの食卓)」と「感謝の典礼(キリストのからだの食卓)」という二つの食卓の対応関係を重視しています。「ミサにあずかる人は前者では〝みことばイエス〟に、後者では〝ご聖体のイエス〟に養われる。」
・「ことばの典礼」そのものに一つのまとまり、総体性があります。主日のミサでは、具体的に第一朗読から共同祈願までが該当します。頂点は福音(みことばイエス)です。基本的に主日のミサの場合、福音書の主題に沿って第一朗読の箇所が決められており、各朗読の間の歌(答唱詩編、アレルヤ唱、詠唱)や説教、そして信仰宣言と共同祈願(信者の祈り)は、聖書のみことばを展開し結ぶものです。
・もう一つの一体性、それは毎日曜日(主日)のミサで聞くみことば、特に福音書が持つ連続性と一体制です。ミサにおいても、真の意味でみことばイエスに養われるために、前の日曜日に聞いた内容と今度の日曜日に聞く福音の内容に深いつながりがあるということです。そして、週日、つまり主日と主日の間は、まさに、聞いたみことばを生きるときであり、同時に、今度聞くみことばに向かって準備するときなのです。みことばの実践と準備の繰り返しこそが、ミサにあずかる者を聖化していきます。みことばイエスによって養われるとはそういうことです。
式次第 | 「ミサの式次第と第一~第四奉献文」 |
第一、第二朗読後の応答 |
朗読者:「神のみことば」 会衆:「神に感謝」 |
福音朗読後の応答 |
朗読者「主のみことば」 会衆「キリストに賛美」 |
日本の教会の適応として、各朗読後に沈黙を保ち、神のことばを味わうことも重要だと思います。忙しい日本の社会のリズムから離れ、ひたすら神のみことばに身を委ねることは、まさにそこに神がおられるという神の臨在の体験につながっていくはずです。 |
・説教は聞く人のためだけではありません。神のみことばは、それについて準備して話すその人にも働く大きな恵みです。
・信仰宣言:主日と祭日には必ず唱えますが、「より盛大に祝われる特別な祭儀においても歌うか唱える」となりました。歌うことが前提の感があります。
・共同祈願(信者の祈り):洗礼を受けている人の積極的な典礼参加の場であり、信者が主役のものです。もっといろいろな工夫があってもいい部分だと思います。