6月に図書室に入った新刊図書をご案内します。
*夜こそわが耀き ニコラ・バレの生涯 ブリジット・フルーレ 春秋社 1993
17世紀フランスに教育を使命とする小さな女性グループが誕生した。その指導者ニコラ・バレ神父は、多くの人を信仰へと導いた熱心な霊的指導者であり、「幼きイエス会」の創立者であっただけでなく、苦行と祈りによって自己の内面の闇に深く分け入り、神との一致を渇望した神秘思想家でもあった。彼にとって「霊魂の暗夜」こそが実は「耀く真昼」であったのだ。彼の始めた修道会は、後に開国直後の日本に来て雙葉学園を創設することになる。著者は「幼きイエス会」の総長、訳者も同会のシスターである。
*鷲の翼 イエズス会聖人の生涯 F.コールリー/ R.ウィルメス 新世社 1986
イエズス会の創始者イグナチオ・ロヨラとその仲間たちから始まって、歴代の聖人や福者、日本の殉教者たちも取り上げられている。主に向かう熱誠に燃えて、他者の霊魂のために思う存分働きたいと望んでいた人々の生涯が読みやすく、簡潔な文で綴られている。タイトルはイザヤ書の「主を待ち望む者は力を得、鷲のように翼を張って上がることができる」から取られている。
*教会では聞けない「21世紀」信仰問答 I まずは基礎編 キリスト新聞社 監修:上林順一郎
「キリスト新聞」に連載された「教会質問箱」のQ&A。日本人の信者によくある質問、教会の入口まで来たけれど、色々とわからないことがあってという人たちの疑問に答えます。回答者は牧師、神父、学校の教師、医師、カウンセラーの人たち。真摯な、それでいて困っている人の気持ちに添った優しい回答の中に、信仰とキリスト教の本質が見えてきます。
*ぼくたちが聖書について知りたかったこと 池澤夏樹 小学館文庫
キリスト教に強い関心を持ち続けてきた作家の池澤夏樹氏が、兄と慕う聖書学者の秋吉輝雄氏に、さまざまな質問を投げかけます。秋吉氏は旧約聖書、ヘブライ語、古代イスラエル思想史の研究者。聖公会の信者で、新共同訳聖書の訳と編纂にもたずさわった方。聖書の成り立ちや聖書の翻訳、ユダヤ教とユダヤ人、聖書と現代社会をめぐるさまざまな疑問に、打てば響くように答えが返ってくる。