典礼コーナー 7

―「司式者」―

日本カトリック典礼委員会担当司教 梅村昌弘 司教

―新しい「ミサの式次第」の実施に向けて―より

<はじめに>

かつて2014年5月に典礼秘跡省によって「ローマ・ミサ典礼書の総則」改定日本語訳が認証されました。今回の新しい「ミサ式次第と奉献文」の変更実施は、前回の総則を前提とし、またそれを引き継ぐものであることを忘れてはなりません。

 

<動作や所作>

総則(42)では「司祭と助祭と奉仕者の動作と姿勢、あるいは会衆の動作と姿勢」について「個人の好みや自由裁量」に優先させ「共通の姿勢を守る」ことが勧められています。それは「キリスト者共同体の成員の一致のしるし」だからだと、その理由が述べられています。その論拠となる『典礼憲章』(26項)では「典礼行為は個人的な行為ではなく、教会の祭儀である。教会は『一致の秘跡』、すなわち司教たちのもとに一つに集められ秩序づけられた聖なる民だからである」と言われています。特に司式者である司祭は、ミサにおけるキリストの秘跡的現存を可能にする役割を担っていることを意識しなければなりません。

※ <手の所作>、<パンとぶどう酒に関する所作>、<礼の仕方>、<式文の唱え方>は省略

 

<沈黙の重要性について>

かねてより日本では沈黙が大切にされてきました。『典礼憲章』(30項)では「しかるべきときには、聖なる沈黙を守らなければならない」とあります。これを受けて総則(45)では「聖なる沈黙も、祭儀の一部として、守るべきときに守らなければならない」とあります。さらに総則はミサの中でのそれぞれの場合を列挙し、「回心の祈りのときと祈願への招きの後には各人は自己に心を向ける」、「聖書朗読または説教の後には、聞いたことを短く黙想する」、「拝領後には、心の中で神を賛美して祈る」ようにと勧めています。第一あるいは第二も含めて朗読後の沈黙は、日本では任意ではなく適応として必ずとることになっています。

 

<終わりに>

司式者としての司祭の奉仕職は、神の民一同の共通祭司職への奉仕であると同時に大祭司キリストの祭司職への奉仕でもあります。二重の意味での奉仕職が司祭の役務的祭司職です。この奉仕を誠実に果たすために司式者である司祭は、常に「自己流のミサの司式になっていませんか?」と自らに問わなければならないでしょう。