典礼コーナー 6

―「閉祭」―

日本カトリック典礼委員会秘書 嘉松宏樹神父(長崎教区)

 

ミサを始めるために「開祭」があり、空間でいえば本殿に向かう参道のような役割を果たしています。そしてミサを結ぶのが「閉祭」です。一同がミサから世界に向けて派遣されるのです。

 

<「閉祭」の4つの要素>

 

1.お知らせ

「お知らせ」は、ミサと生活を結ぶ機会であることを確認しておきたいと思います。「お知らせ」は、ミサが「キリストのからだ(聖体)」に結ばれて「キリストのからだ(教会)」になる場であることを思い出させてくれます。

「合理的配慮」という観点から、目の不自由な方、日本語の文字を読むのが難しい方のために、声にしたことばでの「お知らせ」には意味があります。耳の不自由な方、日本語の聞き取りの困難な方のために、印刷あるいは掲示された「お知らせ」にも意味があります。

 

2.派遣の祝福

式次第 現行『ミサ典礼書』 新しい「ミサの式次第と第一~第四奉献文」
派遣の祝福

司:主は皆さんとともに。

会:また司祭とともに。

司:全能の神、父と子と聖霊の祝福が皆さんの上にありますように。

 

会:アーメン。

司:主は皆さんとともに。

会:またあなたとともに。

司:全能の神、父と子と聖霊の祝福が✞皆さんの上にありますように。

会:アーメン。

「主は皆さんとともに」「またあなたとともに」という「あいさつ」に続いて行われるのが「派遣の祝福」です。司祭が司式するミサでは、会衆に一度十字架のしるしをしながら「全能の神、父と子と聖霊の祝福が皆さんの上にありますように」と唱えます。会衆は「アーメン」と結びます。

よく知られている通り、「ミサ」とは「派遣する」ということばに由来しています。もともとは「解散」の宣言だったと考えられていますが、積極的に理解すれば「ミッション」にも通じることばです。日常を離れ居心地のいい(かもしれない)ミサから、面倒で煩わしい(かもしれない)世間に派遣されるのはわたしたちです。この派遣によって教会は世界の隅々にまで存在するようになります。

 

3.閉祭のことば

終わりを宣言するのは「感謝の祭儀を終わります」ということばです。これまで用いられていた「ミサ聖祭を終わります」という表現はなくなりました。この祭儀が「感謝」を意味する「エウカリスチア」と呼ばれることが理由です。

選択肢に加えられたのは、「行きましょう、主の福音を告げ知らせるために」あるいは、「平和のうちに行きましょう。日々の生活の中で主の栄光をあらわすために」。

*主の復活の8日間と聖霊降臨の主日には、これまで通り、「アレルヤ」を加える。

 

4.退堂

すでに実施されている通り、司式者は開祭のときと同じように、両手で祭壇に触れて深く一礼し、それから祭壇の前で他の奉仕者と共に合掌して深く一礼して退堂します。