主の公現 2021年1月3日

先に下記リンク先の聖書箇所を読み、黙想してから動画をご視聴いただくことをお勧めします。

 

朗読箇所のテキスト(日ごとの福音)

 

第1朗読 イザヤ書 60章1~6節

第2朗読 エフェソの信徒への手紙 3章2,3b,5~6節

福音朗読 マタイによる福音書 2章1~12節

 

お話の要約

皆さん、あけましておめでとうございます。今回は年明けてからすぐ公現の祝いになります。そして、この公現の祝いの意味を教会は集会祈願で示し、主に向かってこう祈ります。「あなたはこの日、星の導きによって御ひとり子を諸国の民に示されました。」その諸国の民に示されたというのは、占星術の学者たち又は伝統的に博士と呼ばれた人のキリスト訪問の意味です。この博士たちは諸国の民の代表者として主を求めて、星に導かれて主を見つけ、ひれ伏して幼子キリストを拝んで贈り物をするのです。

 

この出来事自体には、少なくとも二つの意味があると思います。一つは主なる神の計らい、摂理。というのは、この星とはどういうものか長い間議論されてきましたが、最近は特に天文学の研究によってもう一つの可能性が見えてきました。その研究によれば、ちょうどキリストの生まれる時期、胎内におられた間に、特別な稀な現象がありました。特にパレスチナとその周辺からは木星と金星が非常に近づいて重なって一つに見え、しかもそれは一番明るい星より2百倍も明るく見えたのです。それは非常に稀な現象です。研究によればここ2500年くらいの間に1回きり、ちょうどこの時期なのです。天体の動きは自然の法則に沿った現象ですが、そこに主の計らいが見られます。天地万物を造られた主にとっては、そういう現象をキリストの生まれる時期にちょうど起こすことはたやすいことでした。

 

こういう風に、主なる神は自然現象を通して何かを示されることがあります。私たちの人生も同じです。私たちも主が導くときは心で感じることもあるでしょうが、周りから言われたこと、人生に起こる出来事を通して主は何かを伝えることがあると思うのです。それは私たちに、この学者たちのように読み取る力、知恵があるかどうかによりますが、信仰の目から自分の人生を見れば、色々そういう導きも感じます。それは一つの教訓です。

 

もう一つは、私たちに与えられた恵みです。ここにあるように、それはこの御ひとり子によって主の諸国の民にその救いが示されたということ。私を含めて私たちは誰一人ユダヤ人に生まれた人はいないので、なおのこと主がアブラハムに与えられた約束に与る権利はなく、その立場でもないのです。でも、今日の第2朗読で聖パウロが説明しているように、キリストにおいて、私たちはユダヤ人と一緒にこの約束に与る者、受け継ぐ者になるという恵みを戴いたのです。それはとても大きな恵みです。イスラエル人に最初に約束されたのは、約束の地、現在のパレスチナ、イスラエルという一つの国を与え、多くの子孫を残すという地上の祝福、約束です。でも、キリストにおいては更に偉大なものを約束されました。私たちはこの地上の土地を受け継ぐ者ではなく、天国を受け継ぐ者になる。永遠の命を受け継ぐ者になるのです。この地上を超えている幸福な国を受け継ぐようになるのです。それは今日の特に大事な教訓であり、その恵みを心に留めるべきです。

 

キリストにおいては、アブラハムに約束されたものを更に高めて、更に偉大なものとなって、しかもそれは一つの民族だけではなくて諸国の民、すべての民族に与えられた恵みとなったのです。全人類のものになったのです。そのことを教会は喜んでいます。教会はユダヤ人の中で始まったけれど、もう初代教会の時代からユダヤ人以外の民がどんどん入ってきて、教会は今多くの諸国の民から成っています。それは私たちに示された恵みです。その恵みに感謝して、聖パウロも教えているように、いつもその恵みに留まるように。私もその恵みを与える主にいつも心を向けて、皆さんと一緒に信仰の歩みを続けたいと思っています。