「兄弟たちを力づけてやりなさい」

教皇様の訪日の日はいよいよ近づいてきました。この訪問の意味を理解する為には教皇様の使命と役割を念頭に置く必要があります。キリストが最初の教皇聖ペトロに「あなたに天の国の鍵を授ける」というマタイ16章の箇所はよく知られています。この箇所は教皇様の権限の根拠を示していますが、その使命はむしろ聖ルカが伝えている場面にもっとはっきり示されていると思います。

 

 

「シモン、シモン、サタンはあなたがた[十二使徒]を、小麦のようにふるいにかけることを神に願って聞き入れられた。しかし、私はあなた[シモン]の為に、信仰が無くならないように祈った。だから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」するとシモンは、「主よ、御一緒になら、牢に入っても死んでもよいと覚悟しております」と言った。イエスは言われた。「ペトロ、言っておくが、あなたは今日、鶏が鳴くまでに、三度わたしを知らないと言うだろう」(ルカ22:31-34)

 

先ずは聖ペトロの弱さを注目すべきです。自信過剰の聖ペトロは自分が主を裏切った経験を通して自分の弱さを思い知らされました。今日に至るまで弱い人間が教皇に選ばれます。それだけではなく、サタンに攻撃されます。サタンは全てのキリスト者をキリストから引き離そうと絶えず企んでいます。でもサタンは一信徒を陥れるより、司祭、司教、そして特に教皇を陥れられるなら、もっと容易に他のキリスト者をキリストから引き離せるから、司祭、司教、そして特に教皇をもっと攻撃します。教皇フランシスはこのことをよく意識していると思います。教皇様はサタンに対する警告を呼びかけているし、謁見や他の機会に必ずと言ってもいい程、ご自分の為に祈るように頼んでいます。だからこの訪問を通してもっと身近に感じる教皇様の為にもっと祈るようになったらと思います。

 

そして自分の力にではなく、主の恵みに頼るように「立ち直った」聖ペトロに「兄弟たちを力づけてやりなさい」という使命を授けました。やはり兄弟たちの信仰を力づけるという意味です。だから教皇様はどこに行っても観光客ではなく、主から遣わされた使徒です。外交的または宗教対話的な面もありますが、教皇様は第一にキリストを宣べ伝える為、また私たちキリスト者の信仰を力づける為に日本に来られます。教皇様は聖ペトロの後継者として使徒たちから受け継がれた信仰を宣言して現代人を福音の光で照らすように選ばれた人です。やはりこの使命は人間の力を超えているものだから、教皇様がいつも勇気を持って忠実にキリストを宣べ伝えることができるように皆で祈るようになったらと思います。そのかわり、主はきっと教皇様を通して日本にいる私たちに大切なメッセージを与えてくださると思います。