「あなたに、話しがある」

ご存知のように、今年の11月に教皇フランシスコは日本を訪問します。38年ぶりで2回目の教皇訪問になりますが、ローマまで行かれない方の為に良い機会になると思います。東京ドームのミサに参加できない方でもインターネット中継で見られるから、訪問の恵みに与って教皇様の日本教会に対するメッセージを聞くことができます。訪問に向かって一つの準備として8月号の「毎日祈り隊」ニュースで書いたことを、この度これを読むすべての方に呼びかけます「教皇様の訪問を通して日本の教会が福音宣教の為の豊かな知恵と力を頂きますように、皆さんに祈って頂ければと思います。」

 

というのは、教皇フランシスコは日本訪問がまだ決まらない2年前に、2019年10月を「宣教の為の特別な月」と定めました。そのきっかけは教皇ベネディクト15世が福音宣教を奨励する為に書かれた使徒的書簡「マキシムム・イルド」布告100周年の記念です。この「宣教の為の特別な月」の目的は教皇フランシスコがこう説明しています「諸国民への宣教への意識を更に高めること、そして教会生活と司牧活動の宣教的な変革に新たな熱意を持って再び取り組むことです。」主の摂理によってこの「宣教の為の特別な月」はちょうど教皇様来日の前月になりましたので、主がこの訪問の意味を教えておられるのではないかと思います。

 

私としてはこの間の文集に書いたように、日本に来てから「どうやって福音を日本人に伝えるか」という課題をずっと変わらず抱えてきました。今でもその具体的な方法について手探り状態ですが、いくらか方向性がわかったような気がします。教皇フランシスコが使徒的勧告「福音の喜び」に書いたことはその方向性を示していると思います。福音宣教は押し付けるものではなく、惹きつけるものなんだということです。だから福音の魅力をもっとはっきり示しなさい、と教皇様は訴えます。その魅力とは使徒的勧告の題名の「福音の喜び」そのものだと思います。楽しみなら、お金さえあれば世間ではいくらでもありますが、心を満たすような喜びは世間ではどこでも提供されていません。教会共同体が福音の喜びに生きているなら、きっとその魅力を感じて、惹きつけらる方はどんどん増えると思います。

 

それでは教会共同体が福音の喜びに生きる為にどうしたらいいでしょうか。教皇様の次の言葉はその問い掛けに対する答えだと思います。「私は全てのキリスト者に、どのような場や状況にあっても、今この瞬間、イエス・キリストとの人格的な出会いを新たにするよう呼びかけたいと思います。」信仰の成長と福音宣教は同時に進みます。信仰の成長から宣教する力が湧いてくると同時に、福音宣教は宣教する人自身の信仰を成長させます。