図書室より 新着本情報(10月)

 

10月に図書室に入った新刊をご案内します。

  • 崩壊の時代に射す光~ヨブとミツが立つ世界の中で~  星野正道 オリエンス宗教研究所
    家族や共同体が崩壊し、経済はいきづまり、貧困や過労で人の人生が崩壊していく。この生きづらい時代に射しこむ「光」について考える。ヨブ記を引きながら、泡のように消えてゆく夢や幸せでもなく、因果応報的な報いでもない、人生の意味をはるかに越えた、私たち一人ひとりが生きた人生こそが光だという。さらに遠藤周作の『わたしが・棄てた・女』を聖書を参照しながら熟読して、愛に生きたミツと彼女を棄てた男、吉岡の人生と福音について考える。

  • いのちへの答え~傷つきながらも生きる~  星野正道 オリエンス宗教研究所
    アウシュヴィッツを生きのびたフランクルの『夜と霧』を引用しながら、人と一緒に生きていく時に、そこに神がいなければ、あるいは神よりも大切なものがあるなら、どこでも(学校、企業、家庭、修道会、教会)収容所になりうると言う。
    第2部の「神の言葉をきく- 祈り」は東日本第震災後の講演会の記録。神の不在にも似た神の沈黙ゆえに「いのれない」時になお、祈りにとどまることで、神との関わりはさらに強固になり、その強固な関わり=愛は、神の沈黙がもたらす意味を見いださせることになるという。難しい。

  • 今 ここに~「十五歳の巡礼」を歩き終えたら~  後藤文雄 講談社エディトリアル
    8月に「father」の映画会が行われた後藤神父の新刊。人生の巡礼の終わりにこしかたを語り、出会いを語り、これまでの活動を語る。「Hic et nunc」(ここと今):自分が掘ることのできるのは過ぎ去った過去でもなく、まだ来ていない未来でもなく、今現在だけ。その「今をここ」で紡ぎ続けていくことが永遠につながっていく、恵みの原点だという。「アマタック カンボジアと共に生きる会」の会報への寄稿と受賞記念講演2つを収録。NHK「ラジオ深夜便 こころの時代」に出演した時のCD付き。

  • 科学者はなぜ神を信じるのか~コペルニクスからホーキングまで~  三田一郎(さんだ いちろう) 講談社
    教会図書室初めてのブルーバックス。著者は名古屋大学名誉教授。日本最高峰の物理学者のひとりであり、カトリック名古屋教区の終身助祭として神に仕える身でもある。「科学者であることと、神を信じていることが矛盾していないこと」に答えた一冊。神と関わりの深い宇宙論に貢献した科学者を、歴史を追ってとりあげ、その研究と宗教観を紹介している。