7月に図書室に入った新刊をご案内します。
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「ダライ・ラマ イエスを語る」 ダライ・ラマ 中沢新一訳 角川書店
1994年、キリスト教瞑想グループの「ジョン・メイン・セミナー」におけるダライ・ラマによる『善き心 The Good Heart』の記録。キリスト教の『福音書』への注釈を求められたダライ・ラマは何を語ったのか。「慈悲や愛や瞑想や寛容の修行というような、倫理的・霊的な修行の分野では、仏教とキリスト教の対話はうまく話がかみあって、おたがいを豊かにできる可能性があるとわたしは思っています。しかし、哲学や形而上学の領域になるとはっきりと袂を分かつようになります。受け入れられない分野でさえも、対話によって理解を深め、たがいの敬意を育てることは可能だと思います。」ダライ・ラマがそこにいて、ともに対話し瞑想していると、その場は平和で深々とした喜びの感情に満たされてゆく。
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「海原のかなた」 長崎外国人墓地の碑(いしぶみ) 結城了吾 女子パウロ会
長崎の坂本外国人墓地にある800基ほどの墓。ある少年の墓を見つけてほしいという依頼を受けた結城神父は、探している間にさまざまな墓碑に刻まれたことばに興味を抱く。愛する人に贈られた最後のことば。英語の墓碑銘とお墓の写真も載っている。
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「琴はしずかに」 八木重吉の妻として 吉野登美子 弥生書房
登美子は女学校編入の際に一週間だけ勉強をみてくれた八木重吉に求婚されて17歳で結婚。5年の結婚生活の後、重吉は結核で他界、2人の遺児も同じ病いで14歳と15歳で亡くなる。後に歌人の吉野秀雄と再婚した。熱烈なラブレター、日常のなにげない会話、闘病生活中の思いなど、詩人の稀有な魂の愛と信仰の記録である。たくさんの詩と手紙が引用されている。重吉の詩の鑑賞のたすけにも。
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「いやしを求めて」~シンプルな8つの祈り方~ M. リン他 ドン・ボスコ社
Simple ways to pray for healing 祈りにおいてイエスのいやしの愛を体験した著者たちによるやさしい祈りのプロセスの本。イグナチオの『霊操』の豊かな英知と、現代的霊性と心理学が統合されている。
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「生と死を考える」 曽野綾子、A.デーケン編 春秋社
1984年初版。まだ告知が珍しかったり、ホスピスがほとんどない時代の本だが、死に臨む人と家族の苦悩には同じものがある。心理学者、哲学者、看護士、見送った家族、さまざまの立場からの提言。
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「ヨーロッパ聖地」私の心象風景 火星雅範 近代文藝社
1993年発行。雪ノ下教会の信徒で身障者の方のエッセイ。